2021.03.13 症例・症状コラム
症例:顔面神経麻痺 顔の筋電図16%、柳原法での採点が4点と診断されたベル麻痺。
3ヶ月顔が全く動かなかったのが、みるみる顔の動きを取り戻していった症例。
◎来院者
40代 女性 神戸市
◎発症からの経過と来院までの経緯
3ヶ月前に、朝起きて洗面台に顔を洗いに行くといつもと顔の雰囲気が違う感じがした。朝ごはんを食べようとするとうまく食べれずに水やお味噌汁が溢れるようになってしまった。まぶたも閉じなくなっており目にゴミが入り痛む。
すぐに病院へ行き診察を受けると顔面神経麻痺と診断され、大学病院を紹介された。診察時の顔の状態は、柳原法で4点、筋電図は16%と言われ中程度のベル麻痺との診断を受けた。その後、2週間の入院を行いステロイドの点滴を行なったが顔の状態は一向によくなる兆しがなく、不安が日に日に募っていった。
退院してから他に方法はないかとネットで調べると近くの鍼灸がいいと感じた。通院のしやすさから自宅の近所のところを探し、施術を受けることにした。しかし、2ヶ月通うも顔の動きは戻らず、途方にくれていた。
友人に相談したところ、知り合いに顔面神経麻痺を専門的に診ている鍼灸院があると話を聞き、当院に相談に来られた。
◎施術ポイント
顔面神経麻痺を発症してからすぐに病院に行きステロイドで炎症を抑えたこと、鍼灸を受けたのにも関わらず改善が診られなかったことを考えると何かしらのアプローチが足りていないと考えた。
鍼灸では顔に直接10数本鍼をされたとのことだった。終わった直後顔の張り感は緩む感じはするも動かない状態だった。そのことからそもそも顔面神経が正常に働けていない状態が顔を動かせなくしているのだと考える。
顔面神経麻痺は神経が麻痺しており正常に働けなくなる状態である。そのため顔面神経に対して血液の流れを持っていけるかが回復の度合いに作用する。
◎施術からの経過
首や肩を触診すると、ガチガチに筋肉がコリ固まっていた。自身ではコリ感は全くないのだが、美容室などで固いと言われ気にしていた。特に顔面神経に関わる筋肉のコリが固く初回は重点してコリを緩めるようにした。手のツボと足のツボに鍼をしたところ首のコリが緩んだ。ご自身でも自覚できたようで体が急に軽くなったとの感想を得た。
2回目、鍼をした翌日いつもと顔の感覚が違う感じがしたとのこと。2日目には、その違いがさらに著明になり口の周りがもぞもぞと動く気がするとのこと。そのため、2〜5回目は、首のコリを緩めることに集中した。
5回目、「イー」とした時に歯が見えるようになっていた。まぶたも動くようになり目が閉じられるようになった。そこから日に日に顔の動く量が増えていった。
9回目、当院に来られて2週間後には、周りからもよくなってきたねと言われるほど回復し、ご本人も安心している様子。病院での柳原法での検査も30点を超えてきているとのこと。